交流キャンプ

 小学校の頃、良い子ちゃんとして振る舞っていた俺は学校の代表達の一人として同年代の障害者の子供たちとふれ合うと言う主旨で交流キャンプと言うのに参加させられた。しかも俺の担当は一番障害の程度がひどい自閉症の子だと言う。自閉症なんて聞いたこともなかったが、ストレスがたまると壁に頭をぶつけるのだとか。もうめちゃくちゃ行きたくなかったが俺はいいこちゃんなので文句も言わずに参加である。
 実際会ってみると別になんのことはない、ストレスに弱い知能が低い子だぐらいの印象しかなかった。実際、先生もビックリ、なぜか俺は大変なつかれたのである。今になって考えれば、程度が違うだけで同じ自閉症なのだから、俺が快適になりたいと思う行動は、たぶん彼にも快適だったに違いない。
 子供たちが集まるわけだから当然うるさくなる。彼は壁に頭をぶつけ始めた。俺も耳を塞ぎたかった。いらいらしてわめき散らしたいが、俺はいいこちゃんなのでそんなことしない。自閉症はこんなストレスに対する耐性や反応の違い、知能が低くて我慢できないんだろう、と当時の俺はそう理解した。

 それから1年後、整理が全くできなくて常にごちゃごちゃの片付けられない女である母が管理する手紙の束から半年も前に来た俺宛のラブレターが見つかった。交流キャンプで俺のことが好きになったと言う他校の女の子からだった。人の顔なんてそう簡単に覚えられないし、誰だか全然覚えてないし、もう半年もたってるし... どうしようかしばらく悩んだが、結局返事のひとつも返せなかった。本当にごめん。非モテの俺にとって、人生の大切なフラグを折ってしまった瞬間の一つである。

障害者と健常者の違いなんて、そうはないんじゃないだろうか?   ・・・いや、俺も障害者か・・