発達障害の学習の困難さ 化学編

メチルフェニデートはすごい薬だと思った。
初めて飲んだ時、頭の中のノイズが消えて考えがまとまり、背筋が伸びてまるで別人になった気分だった。 いったいどんな仕組みで効くのだろうかと興味を持った。

高校の頃、化学が大嫌いになった。なんだかすごく曖昧な感じがしていた。どうしてこんな曖昧なものが学問なんだろうか・・・ そんな漠然とした思いを抱えながら、ずっと化学が嫌いになっていた。
メチルフェニデートの化学式はC14H29NO2。
Wikipediaには3Dの分子構造が載っていた。
この単純な化学式からどうしてこの3Dの分子構造になるんだろうか?
3Dの分子構造を表すSMILESというフォーマットは別にあるらしい。

まず簡単に考えるためにH2Oから考えてみることにした。
水素がたくさんあって酸素がたくさんあって、条件が揃えば必ずH2+O2->H2Oになるのだろうか?
いや、オゾンO3とかあったよな。
酸素と水素で水になる、って聞いたけど、オゾンになることもあるんじゃね?
とりあえずH2Oを考えよう。
H2Oになる場合は、必ずH2Oの形になるのか?
なんか知らんけど電子の軌道は素数が関係あるんじゃなかったっけ?
んー、とりあえず電子を共有してくっつくんだよな?
これが共有結合? そういえば水素結合だのイオン結合だのあったはず。
一体どういう条件で結合が決まるんだろうか?
そもそも、分子ってなんの力でくっついてるの?

電子がぶつからないように陽子の周りを感じか。
ん? 陽子ってプラスで電子ってマイナスだよな。なんでくっつかないの?
そういえば中性子ってあったよな。
中性子ってどんな役割をしてるんだ?
陽子と電子だけじゃダメなの?
中性子は電気的に中性なんだろ? 原子の中の中性子の数ってどうやってきまるの?

こういうのはコンピューターでシミュレートできないのか? 試してみたいんだけど。
それを高速にする方法でノーベル賞を取ったのか。
いまだったら誰でも考えつきそうだけど・・

なるほど、結合が弱いところを置換して希望の形にしていくのか。
こういうのはコンピューターで簡単にできそうだけど。
ん? ベンゼン環みたいなのとか、狙ったところを置換することできないよね? 確率的にしかできなくね?
そうか、反応して出来上がったごちゃ混ぜの化合物を分離するのか。
どうやって分離すんの? なになにクロマトグラフィー?

メチルフェニデートを作ると捕まるのかぁ。
メチルフェニデートはなんとなく耐性がつく気がしたので、もっと穏やかな効き目にできないのか?
たとえば、メチルじゃなくてエチルにしたら分子が大きくなって効き目が緩やかになるんじゃないか?
エチルフェニデートも禁止薬物か・・・

こんな感じ。
とにかく俺の頭はなぜ?でいっぱいだ。そしてそのたびにあっちに行ったりこっちに行ったりどんどん興味が湧いて発散してしまう。
高校の頃の教科書が無いので確かめようも無いけど、化学物質は確率的にしか作れなくて、分離するための方法がいろいろあったり、欲しい化合物ができる確率を上げる方法を見つければ大儲けできるとか、なんかそういうことを教えてくれたらきっと化学が好きになったと思う。残念ながら俺は小中高ではそんな先生には一人も出会えなかったし、大学は2週間でいくのをやめてしまった。塾に行ったり、本との出会いがあったり、アスペの俺には厳しいが化学好きの友人がいたりしたら状況は変わっていたかもしれない。インターネットがなかった昔はそれがほとんど全てじゃ無いだろうか。

しかし今はインターネットがある。なぜなぜの洪水の中にいる発達障害者にとっては以前よりはだいぶマシな環境だ。しかし、知りたいことの答えがすべてわかるわけでは無い。なんでも答えてくれるAIがないなら、良き師に出会うのが一番効率が良さそうだ。だから俺は子供に俺が子供の頃してほしかったことをやるように心がけている。小さいうちから塾に通わせるのもその一つだ。